自分と向き合う⑵

テクニックでは解決しない

恋人や配偶者などの身近な人との関係修復しようと、コミュニケーション・良い人間関係を築く方法・アンガーマネージメントなどを学んで実践してみてもなかなか改善されません。揚げ句には良い関係にしようと自分は頑張っているのに…とつい相手を責める気持ちになってしまいます。

努力しても何故うまくいかないのでしょうか?

人は嫌なことをされたら、嫌な気持ちになります。嫌なことをした相手に、怒りや憎しみの感情がわきます。時には恨むこともあります。人として当然のことです。

もちろん親に対しても例外ではありません。子どもにとって親は特別な存在であり、愛する存在です。信頼しているからこそ、期待しているからこそより一層怒りも、憎しみも、恨む気持ちも強くなります。

愛することと、憎しみや恨む気持ちは表裏一体です。解消しないままだと、増幅されていきこそすれ薄れるものでも無くなるものでもありません。

根本原因は

憎しみや恨みを本来向けるべき相手に向けられていない場合があります。

例えば相手が親だとしたら、親を憎みきれずに、自分自身やたいせつな身近な人に向けられてしまうことがあります。向けるべき相手に向けられてこそ解消されていくのであって、矛先が違うと当然のことながら解消されません。心の裏側、無意識に残ったままになります。解消されない行き場のない苦しい気持ちは、周りの人間関係に出てきます。

それが恋人や配偶者などの身近な人との関係がうまくいかない根本原因なので、他の方法で人間関係を修復しようとしてもうまくいかないわけです。修復する方法は自分と向き合って、根本原因となっている自分の心の奥底にある相手に対する気持ちに正直になるしかありません。

人間関係がうまくいかないとは

人間関係がうまくいかないというのは、人とトラブルを起こすなどということばかりではありません。例えば相手に悪く思われないように予防線を張って、過剰に緊張したり、無理をしてしまいます。また、相手とのトラブルを回避しようとするばかりに、相手に本音がうまく伝えられない等々です。

人間関係がうまくいかないというのは、要するに人と関わる時に自分の心が苦しいことです。自分の本心や感情を素直に表現するのが苦手です。

心の痛み

親が怒り、憎しみ、恨みを湧くようなことをしたことに対して「自分がこんなだったから…」と自分のせいだと思い込み、自分を否定してしまいます。その時の親のおかしな行動は、おかしい以外の何ものでもありません。

「自分と向き合う」最初の段階では、親を悪いふうに思ってはいけないだとか、親だって自分のことを一所懸命育ててくれただとか、親には親の苦しい事情があったなどと思う必要はありません。何をさておき自分がどう思っていたかと、自分の感情に焦点を当てて自分の中にある感情にリアルに向き合うことです。心の中で自分がどう感じているか、どんな気持ちがあるかが最優先です。

「自分と向き合う」過程で、自分の思い違いであったかもしれないと思うこともあるかもしれませんが「自分の心の中にあるものが、あなたにとって真実」なのです。

「自分と向き合う⑶」に続きます