境界線(13)

タイトル境界線⑼から「境界線(以下バウンダリー)の十の法則」として「人生を考える時の基礎となる原則」を紹介しています。

前回の「評価」・「主体性」の法則に続いて、今回は「妬み」・「行動」の法則です。

人生を生きる時の心構えについてのお話です。

「妬みの法則」

一般的に「嫉妬」という言葉がよく遣われますが、他にも同じような感情を表現する言葉に「妬み」(ねたみ)と「嫉み」(そねみ)があります。

 

「嫉妬」と「嫉み」は三者間で起こることです。例えば恋愛の三角関係、不倫や浮気相手への嫉妬、親子関係で兄弟姉妹の親の奪い合いなど、自分が持っているものを失うことや奪われることへの怖れによって起こります。

 

一方「妬み」は二者間で起こることです。例えば同い年の人との収入の差、成功を収めているかどうか、住んでいる家の大きさなど、恵まれていると思う相手に対して羨ましくて憎いというネガティブな気持ちによって起こります。羨ましくて憎い、悔しいと思っても自分も相手のようになりたいというポジティブな気持ちになれれば、目標に向かって努力する原動力になることもあるかもしれませんが、妬みである以上は努力する原動力にはならないでしょう。

「妬み」は最も厄介な感情かもしれません。人は人と比べてしまうものですが極端に人と比較していると、人にも自分自身に対してもとても厄介な存在になるのではないでしょうか。「妬み」は人生で人の足を引っ張り、自分で自分の足をひっぱってしまいます。何故なら、自分ばかりが、自分は運が悪いなどと思い込んで人を妬んでいるからです。逆にあなたのことを妬む人が周りにいると良い影響は受けません。

妬む心

妬む心は自分から目を逸らして、自分にあるものや持っているものではなく、相手にあるものや持っているものを数えています。今あるものには目を向けずに、ないものに目を向けてしまいます。適切なバウンダリーが引けていないと自分の外にあるものや自分ではどうにもならないもの、つまり相手に焦点を当ててしまいます。

自分の持っているものがつまらないものに見えて、相手が持っているものが良いものに見えて妬んでしまいます。例えば子どもが人のおもちゃを欲しがるように、人が持っているものがただ欲しいだけだった場合、手に入った途端それが色あせて見えてしまい興味をなくして要らないものになってしまいます。心から欲しいものではないからです。おとなになってもそれを繰り返してはいないでしょうか。

望みは何?

あれが欲しいこれが欲しいという尽きることがない欲と、自分の欲しいものが手に入らない不満を抱えて、むしろ自分が望むものは絶対に手に入らないという思いが、心のどこかで信念になっています。人の望みは人の望み、自分が何を望んでいるかわかっているでしょうか。自分の望みがわからないのでは「自分が空っぽ」に感じられて虚しくなってしまいます。自分が欲しいと思うものに対して、どれだけ手に入れる努力や行動をしているでしょうか。

 

適切なバウンダリーを引き、相手を「妬む」時間とパワーを「自分の望みは何か」と真剣に問いかけ「行動を起こしていく」方が、実りある人生になるのではないでしょうか。

望んだからといって手に入るとは限らないのに、ましてや望んでいるものがわからなくて、望むこともせずに行動も起こさなければ手に入れようがありません。妬みがふくらんでいくばかりではないでしょうか。

「行動の法則」

人生を航海に例えるとしたら、私たちは船の操縦桿をしっかりと握って航海に出るようなイメージです。自分の人生の舵取りをしっかりして、人生を自分で切り開いていくしかありません。主体性がなくては荒波や大嵐の日の航海をうまく乗り切れません。

適切なバウンダリーを引くこと自体、主体性がないとできないことです。受け身ではできません。バウンダリーには自分が取るべき責任の範囲を示す役割もあります。自分の人生の主人公は自分であり、どのような人生になるかは自分の責任です。

千里の道も一歩から

中国の哲学者老子に由来することばに「千里の道も一歩から」とあります。「目標を達成するためには地道な小さな努力の積み重ねが必要である」という意味です。

 

それはどんな時も一歩踏み出し、その時にできる小さな努力を一歩一歩積み重ねて、地道に積極的に行動していくことが必要だということです。そういった努力を積み重ねていく気力は、心の健康度を測る目安になるのかもしれません。

人にはそれぞれ性格がありますが、引っ込み思案の人だったら、内気な人だったら、気が弱い人だったらというようなこととは関係がありません。生きる姿勢の問題です。どんな性格の人も適切なバウンダリーを引こうとすれば引けるからです。生きていくには、何度転んでも立ち上がる気力、悪いものを跳ねのける力、物事に対して柔軟に考える力といった心の強さが必要です。心の強さも行動していく中でより培われていくものだと思います。操縦桿をしっかりと握って、しっかりと舵取りをして人生を前へ前へと進めていきましょう。

参考文献 「境界線」 ヘンリー・クラウド、ジョン・タウンゼント著

 次回「境界線(14)」に続きます。