コロナの時に㉚境界線(2)

人の悩みのほとんどが人間関係だといわれています。人生には病や天災などのどうしようもない災難が降りかかることがありますが、その時でさえ人間関係によって、その災難が人生に及ぼす影響は変わってきます。それ程人間関係は人生に大きく関わっています。人と信頼できる良い人間関係を築くには、健全に適切な心の境界線(以下バウンダリー)を引くことが重要であり、バウンダリーは悩みや問題を解決する鍵にもなります。

バウンダリーイメージ

バウンダリーは自分と相手を区別するために引く線ですが、自分と相手とを隔てる壁をつくるイメージではありません。自分が自分であり、相手が相手であるという当たり前のことを示すために引くものです。例えばあなたの家に許可なく誰か知らない人が入ってきて、勝手にあなたの物を使っていたらどう思いますか?誰か知らない人が自分の家に許可なく入るのも、また知らない人の家に相手の許可なく入るのもおかしな話ですよね。このようにバウンダリーを引くことは自然なことであり、あって当然のものです。バウンダリーは自分を守り、安心して相手と良い関係を築くために必要です。

 

バウンダリーは、一旦引くと固定してしまうようなものではなく、自分で柔軟に変えられるものです。一時的に動かすことも、引き直すこともできます。相手や状況によって変えることができるのです。

動かす時には

例えば職場で信頼している同僚がトラブルに巻き込まれ困っている状況を知って、残業はしないと決めていたとしても困っている同僚のために残業することもあるでしょう。

 

その時に気をつけることは、相手の意向や反応などをみて相手次第で決めるのではなく、自分のバウンダリーを自分の意思によって動かすことを決めることです。

逆にバウンダリーが曖昧で「NO」と言えない場合、同僚の仕事をいつも手伝うことが多く、自分の仕事は終わっているのに人の仕事のために残業ばかりすることになって、疲れて果ててしまう状況が続いていたとしたらどうでしょうか。当然、あなたに不満が募るのではないでしょうか。

バウンダリーが曖昧だと

自分の限界を越えて相手を助けようとすること、また本来相手がとる責任は相手が負うのが当然なのにも拘わらず繰り返し助けてしまうこと、助けないとどこか薄情に思ってしまうことが続くと、無駄に時間とエネルギーが奪われてしまいます。結果的に良い人間関係は築けません。

バウンダリーチェック

では実際あなたにバウンダリーの混乱がないかみてみましょう。

下記は「バウンダリーチェックリスト」です。

ノーと言うことができない
ほしいものや必要なものを要求できない
人の意見に合わせる
自分で決断できない
批判されるとひどく落ち込む
相手を自分の価値観に合わせようとする
相手の問題解決に必死
相手がだらしないと自分が恥ずかしい
相手をすべて自分のものにしたい
自分の幸せが相手にかかっている
自分よりも人の世話をする
自分を傷つける人とかかわり続ける
人につけこまれる
相手が楽しそうでないと自分が責任を感じる
自分だけの時間をもてない
過酷な状況に長い間身をおく

 

(出典:(株)アスク・ヒューマン・ケア『アダルトチャイルドが人生を変えていく本』

アスク・ヒューマン・ケア研修相談センター編「境界の混乱をチェックする」より)

いかがでしたでしょうか。

チェックが多い程、バウンダリーが曖昧になっています。

 

チェックが入った箇所について

最近のあなたに思い当たることがないかふり返ってみると

バウンダリーがどうなっているか具体的にわかるのではないでしょうか。

次回、「ロジャーズのひとりごと 境界線⑶」に続く。