コロナの時に㉕揺るぎないもの

詩「それでも」

人は不合理 非論理 利己的です  

気にすることなく 人を愛しなさい 

 

あなたが善を行うと 利己的でそれをしたと言われるでしょう

気にすることなく 善を行いなさい 

 

目的を達しようとするとき 邪魔立てする人に出会うでしょう

気にすることなく やり遂げなさい 

 

善い行いをしても おそらく次の日には忘れられるでしょう

気にすることなく し続けなさい 

 

あなたの正直さと誠実さとが あなたを傷つけるでしょう

気にすることなく 正直で誠実であり続けなさい

 

あなたが作り上げたものが 壊されるでしょう

気にすることなく 作り続けなさい 

  

助けた相手から 仕打ちを受ける時もあるでしょう

気にすることなく 助け続けなさい 

  

あなたの中の最良のものを 世に与えなさい

けり返されるかもしれません

でも気にすることなく 最良のものを与え続けなさい 

 

最後に振り返ると あなたもわかるはず

結局は全てあなたと神との間のこと(あなたの心のこと)だと

決して他の人との間であったことではなかったと

 

マザーテレサ

インドのカルカッタにある「孤児の家」の壁に掲げられた詩です。

マザー・テレサが感銘を受けて「逆説の10か条」を詩にされました。

逆説の10カ条

「逆説の10カ条」は、アメリカの行政官僚ケント・М・キースがハーバード大学2年生の時に書いたものです。

詩の「最後に振り返ると」で始まる一文はマザーによるものです。

 

マザーの詩には6カ条目と7カ条目がありません。

 

「もっとも大きな考えをもったもっとも大きな男女は、
もっとも小さな心をもったもっとも小さな男女によって

撃ち落とされるかもしれない。

それでもなお、大きな考えをもちなさい。」(6カ条)

 

人は弱者をひいきにはするが、勝者のあとにしかついていかない。
それでもなお、弱者のために戦いなさい。(7カ条)

 

とあり10カ条となっています。

学びとり、気づくこと

ケント・М・キースは、「仮に他の人が良いこととして評価してくれなくても、正しいことを、良いことを、真実であることを常に実行してみるという挑戦として書いた」また「正しいこと、良いこと、真実であることを実践すれば、その行動自体に価値がある」といいます。

 

特異な人生を送ってきたわけでもないキースが、僅か二十歳で自身の体験と観察から十カ条を書いたことは、深い学びと気づきの人だと思います。同じ体験をしても、そこから多くを学びとり、気づくことができたら人生はより豊かになります。

多角的なものの見方

例えば、9カ条目の「助けた相手から 仕打ちを受ける時もあるでしょう 気にすることなく 助け続けなさい」は、キースが大学生の時のお年寄りの身の回りの世話をするアルバイトでの体験が元になっています。

 

そのお年寄りが好きで友だちでもあったのですが、やることなすことに文句を言われ、一緒に出掛けるたびに不満続出な状況に困り果てた彼は、ある日そのお年寄りの立場になったらどういう感じだろうかと想像してみました。自分で自分のことができなくなったお年寄りは、世話をする自分にではなく、ままならない自分自身にイライラしているのだということにその時気づいたそうです。それからお年寄りからの不平不満が気にならなくなったといいます。

人は愛を求める存在

家族という身近な存在でも、愛するなどとても無理と思うことがあるのかもしれません。友達であれば距離をとることができますが、例えば嫁姑、会社での人間関係、サークルでの人間関係などで、簡単に逃れることができないところで、嫌な相手と関わらなくてはならない時、大きなストレスがかかります。それでも愛しなさい、愛は無条件などと言われても現実的ではないのかもしれませんが、相手が「嫌な人」になってしまうような、こちらにはわからない事情があるのかもしれません。その事情はこちらには見えません。

 

どんな人でも、人は愛を求める存在です。こちらが百歩譲って理解して少しでも愛することができたとしたら、少しずつでも何かが変わるかもしれません。

ゆるぎないもの

人生には、信じられないと思うことが起こることがあり、困難に直面した時には何を信じればいいのかと思うこともあります。人は感情をもった人間です。直面したその時々に、さまざまな感情がわき起こるのは自然なことです。

 

それでもなお、人を愛する。難しい時もあるとは思いますが、心掛けよく、良心的に生きようとし、人格を磨くことが生きる意味だとしたら「逆説の10カ条」でなくても、「マイ逆説の十カ条」というようなゆるぎないものを自分の中に持つことは、人生の指針になるのではないでしょうか。それは同時に自分を守る支えになるかもしれません。