コロナの時に⑳愛すること

「老いた親とのつきあい方」熊野英一著

画像Amazonより出典

親は死ぬ間際まで子どもにいろんなことを教える存在なのではないかと、一昨年母を看取った時にしみじみと思ったものでした。もちろん母にはおとなになった私に対して、教えるというような意識はなかったのかもしれませんが、母の死にざまにも、母の生き方、素の母を見たような気がします。そこでの学びは私にとっては大きなことでした。私にとっての親というものの存在意義がわかったような気がします。

そして母の死後、私と母の親子関係にも分かり合えないところがあり、いろいろなことがあったけれど「私が今、幸せであれば」母と私の親子関係はそれでよかったのではないかと思うようになりました。

親の心子知らず、親孝行したい時には親はなしとは、今までに何度も聞いた言葉です。いつかは親とも別れがきます。看取りにどんなふうに関わるかを具体的に考え、その中で親との関係を素直に見つめ直すことは、自分にとっても親にとっても必要なことではないでしょうか。老いた親とのつき合い方が具体的に書かれています。

「大人の発達障害グレーゾーンの人たち」

ランディック日本橋クリニック院長 林寧哲著

画像Amazonより出典

著者の林先生のクリニックでは、ADHDやアスペルガー障害などの軽度成人発達障害に関する診断や治療を中心に診察・治療をされています。「発達障害ではないか」と受診される方が増えているそうです。明らかに発達障害と診断されず、発達障害の傾向があるまたはグレーゾーンと言われた方向けにわかりやすく書かれています。

林先生によると発達障害やグレーゾーンの人には、必ず「適応障害」が併存しているとのことです。なんとなく生きづらいと感じている人にはもちろんのこと、発達障害について知りたいという人にもおすすめです。あなたの何故に応えてくれるかもしれません。

「愛するということ」エーリッヒ・フロム著

画像Amazonより出典

『愛することほど易しいものはない。というこの思いこみは、それに反する証拠が山とあるにもかかわらず、いまもなお愛についての一般的な考え方となっている。これほど大きな希望と期待とともにはじまりながら、決まって失敗に終わる活動や事業など、愛の他には見当たらない。もしこれが何か他の活動なら、人は失敗の原因をぜひとも知りたいと思うだろうし、どうすればうまくいくかを知りたがるだろう。さもなくば、いっさいその活動をやめてしまうはずだ。でも、愛することをやめてしまうことはできない。だとしたら、愛の失敗を克服する適切な方法はひとつしかない。失敗の原因を調べ、そこからすすんで愛の意味を学ぶことである。』(エーリッヒ・フロム著「愛するということ」より引用)

フロムが言う「愛するということ」を学んでいく過程で、自分の人格を磨いていくことは、とどのつまり幸せに生きるための第一条件かもしれません。

愛することは生きること。これからも読み返し、歳を重ねるたびにより内容を理解したいと思う一冊です。新たに改訳されて読みやすくなっています。以前に読まれた方にもおすすめです。